自費の価格、どう決めた?──「稼働率40%で黒字」になる値段の作り方
2026/6/15 / 更新:2026/8/1
この記事で分かること
読了時間:約 3 分
- ✓ 価格は相場でなく、損益分岐点から逆算して決める
- ✓ キモは「稼働率40%で損益分岐点に届く」値段にすること
- ✓ 固定費が軽い自宅サロンほど、無理のない価格設計ができる
価格を「相場でなんとなく」決めるのは、危険
開業のとき、価格設定はすごく悩みます。「周りがこのくらいだから」と相場で決めてしまいがちですが、私はこれが一番危ないと思っています。
相場に合わせた価格が、自分のサロンの採算に合っているとは限らないからです。私は、まったく別のところから価格を決めました。
私の決め方:損益分岐点から逆算する
私が最初にやったのは、損益分岐点を出すことでした。
損益分岐点とは、ざっくり言うと「これだけ売上があれば、赤字にならない」というライン。毎月の固定費(広告費・光熱費・サーバー代など)と、自分の生活に必要なお金を足すと、「月にいくら売上が必要か」が見えてきます。
価格は、このラインから逆算して決めました。
キモは「稼働率40%で、損益分岐点に届く」価格にすること
ここが一番大事なところです。
私が基準にしたのは、「稼働率40%で損益分岐点に届く価格」でした。
稼働率40%とは、フルで埋まる枠の4割だけ埋まれば、赤字にならないという意味です。残りの6割は、いわば安全マージン。
なぜ40%なのか。理由はシンプルです。「満員でやっと黒字」という価格は、危険すぎるから。開業初期は、予約はそう簡単に埋まりません。満員前提の価格だと、少し予約が減っただけで即赤字。これでは精神的に持ちません。
逆に、4割埋まれば黒字になる価格なら、低い稼働でも生き延びられる。この余裕が、焦らず長く続けるための土台になりました。
実際に計算してみよう
考え方を、簡単な例で示します(数字はあくまでサンプルです)。
- 月に必要なお金 = 36万円 とする(内訳:自分の給料 25万円 + 事業費 11万円※広告費を含む)
- 給料の25万円は、先に家計を管理して出した固定額。売上が良くても悪くても、この額しか取らない
- フル稼働 = 1日6名 × 週5日 × 4週 = 月120枠
- その 40% = 月48枠
- 48枠で36万円に届く単価 = 36万 ÷ 48 = 7,500円。必要額ぴったり
この場合、単価を 7,500円 に設定すれば、「4割の稼働で、必要額にちょうど届く」ラインが作れます。
そして大事なのが、4割を超えて埋まった月の扱いです。超えた分の売上は、使わずに事業防衛費として貯めます。給料は固定、余りは防衛費——このルールにしておくと、売上の良い月に生活が膨らむことを防げて、予約が減った月も同じ給料を払い続けられます。事業の防衛資金は、生活防衛資金とは別の財布です。
あなたの給料・事業費・1日に取れる枠数を当てはめれば、自分の適正価格が見えてきます。
自宅サロンは、この設計がしやすい
ここで1本目の記事の話が効いてきます。
固定費が重いほど、損益分岐点は高くなり、必要な単価も上がります。テナントを借りて家賃がかかると、40%稼働で黒字にするには、かなり高い単価が必要になる。そうなると今度は、価格が高すぎて集客が難しくなる——という悪循環に陥りがちです。
その点、自宅サロンは固定費が軽いので、損益分岐点が低い。だから、無理に高い単価にしなくても「40%で黒字」が成立しやすい。価格設定のうえでも、自宅サロンは有利なんです。
まとめ
- 価格は相場でなく、損益分岐点から逆算して決める
- 基準は「稼働率40%で損益分岐点に届く」価格=低い稼働でも黒字で、精神的に楽
- 「満員でやっと黒字」の価格は危険。少し予約が減るだけで赤字になる
- 固定費が軽い自宅サロンほど、無理のない価格設計ができる
「自分のサロンなら、いくらに設定すればいい?」と悩んだら——
あなたの固定費から、一緒に適正価格を計算します。
よくある質問
Q. 稼働4割だと、1日のスケジュールはかなり余裕がありませんか?空いた時間は何をするのですか?
A. 1日6枠の4割は、1日2〜3名です。時間だけ見れば余裕がありますが、開業してみると暇にはなりません。空いた時間の中身は、集客(チラシづくり・配布の計画)、ブログや発信、カルテ整理などの事務、そして学び直しです。特に開業初期は、施術より集客に時間を使いました。私のホームページやブログ140本超も、この空き時間で書いたものです。4割は「それだけ埋まれば生き延びられる」下限ラインであって、残りの時間は来月の予約を作る時間です。
Q. 「4割」という数字は絶対ですか?自分で変えてもいいのでしょうか?
A. 絶対ではありません。4割は、どれだけ悲観的に見積もるかを決める安全マージンのダイヤルです。同じ例(必要額36万円・フル120枠)で、3割で見積もれば単価は1万円、5割なら6,000円になります。低く見積もるほど単価は上がり、埋まらない月にも耐えられる設計になる。高く見積もるほど単価は下がって売りやすくなるが、外れた月に赤字になる。私が4割を使うのは、開業初期に現実的に見込める稼働と、外れたときの余裕のバランスがこのあたりだからです。家賃のあるテナント開業なら、もっと低め(3割)で見積もる調整もあります。
Q. 開業時は安くして、軌道に乗ってから値上げすればいいのでは?
A. 後から上げるほうが、ずっと難しいです。値上げは通ってくださっている方との信頼に直接ふれるので、簡単には言い出せません。最初から4割稼働基準の適正価格で始めて、安さは「初回体験価格」のような入口の割引に限定するほうが、運用しやすいというのが私の考えです。
Q. 計算した価格が、近隣の相場より高くなってしまったら?
A. 先に確認してほしいのは、その価格があなたの必要額から出た数字かどうかです。相場に合わせて必要額を下回る価格にすると、続けること自体が難しくなります。相場より高い分は、施術時間の長さ、説明の丁寧さ、卒業後のフォローなど、時間をかけられる自費だからできる形で価値を作る。価格を下げる前に、見せ方と中身を先に疑うのが順番だと思います。